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サボテン大好き~♪多肉もね

今日のお話コンテンツが時々増えます

サボテンの実生法  
二見 俊彦 氏(静岡県)寄稿

                            

実生は昔からサボテンの最も一般的な繁殖法
ですが、最近は実生をやる人が
少なくなっているのは残念に思います。
実生は一度に大量の苗が得られるとともに
希少種や新種の繁殖、交配による優系種の
作出、斑物の作出など、様々なことが行えるメリットがあります。
実生法については昔から参考書に
書かれているのでいまさら紹介するまでもないとも思いますが、参考書が書かれていた
当時とは栽培法や栽培環境も変わってきており、参考書の通りにやっても
うまくいかないことも多々あるようです。
最近は若い人もサボテン栽培を始めるようになってきており多少の参考になればと
私の実生法を紹介したいと思います。
なお、私の方法は西三河カクタスクラブの
D氏(西尾市)およびY氏(一宮市)がベースとなっていることをお断りしておきます。
また、文中に資材のメーカー名などが
出てきますが、あくまで私が使用しているものを紹介するためで
特定の商品を宣伝する意図はありません。
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1.用具および種子の準備
1)用土
昔の参考書では用土は無肥料の砂で
発芽したらすぐに肥料のある培用土に植え替えるなどとありますが
今は肥料の入った用土に蒔き
ある程度大きくなってから植え替えるのが主流となっています。
用土は赤玉土を主体に、軽石やゼオライト
サボテン用肥料を配合したものを使用します。
私の用土は下記の配合としています。
赤玉土の細粒(二本線の小品盆栽用)…3割
赤玉土の微粒(芝の目土)     …3割
イソライトCG2号         …2割
ゼオライト(微粒)        …1割
肥料(山城愛仙園のペレット肥料) …1割
*イソライトは焼成珪藻土ですが、代わりに軽石の微粒としても良いです
*ゼオライトはなくてもよいです(その分、イソライトを増量)
*赤玉土はふるいで粉を取り除きます(用土が固まらないように)
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2)表層土
赤玉土の微粒(芝の目土)…カビや青苔が生えるのを防止するため
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3)鉢
用土を入れる鉢は一般に角鉢や長角鉢などを使用しますが、私は7.5cm
ビニポットを主体に使用しています。
種の数が多いときは長角鉢も使用しますが、
私は西尾化工の5号(151×123×H64mm)をよく使用ます。
後述の発泡スチロールのリンゴ箱には7.5cm
ビニポットは30個、5号の長角鉢は8個収容できます。
*種子が大量の場合は大きな長角鉢にまとめて蒔いてもよいですが
発芽後の管理中に病気が発生して全滅する恐れがあります。
病気は鉢をまたいで伝染することは少ないので、多数のポリポットに
分散して蒔くことは全滅を防ぐためには効果的です。
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4)ポッティングトレー

7.5cmビニポットが入るものを使用します。
 市販のものは5×8列の40連結ですが、一部を切り取って
発泡スチロールのリンゴ箱に入るように30連結にします。
また、私は種蒔き作業の都合から15連結を2個にしています。

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5)容器
種を蒔いた鉢を入れる容器として発泡スチロールのリンゴ箱を使用します。
この容器には7.5cmビニポットがちょうど
30ポット入り大きさと深さが
実生に適しています。
発泡スチロールのリンゴ箱は5~6月にリンゴの保冷輸送に使われるもので
スーパーなどで無償で
もらえることが多いです。
手に入らない場合はカインズホームで売っていますが600円程度します。
なお、他の容器でも差し支えありませんが
大きさや深さはリンゴ箱に近い方が
よいと思います。
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6)覆い
容器の上にかぶせて中の温度を高めるのに用います。
以前はガラスを使用していましたが
最近はサンドイッチ構造のポリカーボネート板を使用しています。
これはホームセンターで売っており
(1×2mのものが2,000円程度)
ハサミやカッターナイフで
自由に切断できるので便利です。
似たようなもので通称ダンプラと呼ばれるものがありますが
こちらは耐候性がなく、すぐにボロボロになってしまうので使えません。
なお、覆いには2カ所にペットボトルの蓋を
張り付け、容器にかぶせたときに隙間ができるようにしています。
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7)種子
種子は自分で交配して採取する、購入する、譲ってもらうなどにより準備します。
購入の場合、国内では山城愛仙園や奈良多肉植物研究会で扱っていますが
基本的に自家採取の品種が中心で
種類は少ないです。
海外ではドイツ、チェコ、アメリカなどの園から購入できますが
最近は植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)が添付されていないと
輸入が認められなくなり面倒になっています。
植物検疫証明書は有料であり、園によっては添付を受け付けないところもあります。
自分で交配して採取するにはサボテンは
自家受精しないので
少なくとも2本の親木
(互いにクローンでない)が必要です。
また、同時に花を咲かせるためにはさらに多くの親木が必要な場合もあります。
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*種子の寿命と保管
昔の参考書に種子には寿命があると書かれているものがありますが
これは保管状況によって発芽率が低下することに起因していると思われます。
自家採取の種子でも春に採取した種子を室内に保管して夏を越すと
発芽率が大幅に低下することがあります。
これは、種子が高温多湿に弱いためで
採取あるいは購入後は冷蔵庫に
保管するとよいです。(チルド室が最適)
冷蔵庫で保管したものは数年たっても問題なく発芽します。
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*交配と種子の採取
サボテンはメロカクタスやフライレア、プセウドペクチニフェラなど
一部の例外を除いて自家受精しないので
互いにクローンでない親木を用意して
花粉を交配します。
交配は花が十分開ききったときに一方の
雄しべをピンセットでつまみ取り 他方の雌しべにこすりつけるようにして行います。
花粉は雌しべの内側につかないと
受精しないので雌しべが開いていない場合は
ピンセットで押し広げて
内側にこすりつけます。
自然に雌しべが開いているときのほうが確実に受精するようですが
ルエチーなど、雌しべが開かない
品種もあります。
交配の数ヶ月後に実が熟し
種子が採取できます。
ギムノなどは大きな子房が初めから露出していて熟すと子房が割れます。
マミラリアの多くやディスコカクタス
牡丹類などは熟すと子房が綿毛や球体から飛び出してきます。
一方で、白鳥やマクドガリーなどは子房が疣の谷間に隠れる、あるいは半分埋まっており
採取の時期が近くなったら
球体をよく観察し、熟して種子が出来ていたら採取します。
また、ルエチーや精巧丸などは種子が球体に埋まっていて外に出てきません。
これらは交配したら目印をつけておき
数ヶ月後に球体の膨らみなどで熟したのを確認してピンセットなどを用いて
掘り出す必要があります。
種子を採取したら水洗いして果肉などの
異物を取り除き、乾燥した後に袋などに入れて冷蔵庫で保管します。

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2.種蒔き
1)蒔き床の準備
7.5cmビニポットをポッティングトレーに
セットし底に網を入れた後に用土を入れます。
入れた後に角棒などを用いて
表面を平らにならし
その後、表層土を厚さが5mm程度になるように入れます。
こちらも入れた後に角棒などを用いて表面を平らにします。
表層面が7.5cmビニポットの上端から1.5cm程度下になるようにします。

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2)種蒔き
7.5cmビニポットに1ポットあたり100粒を目安に、
出来るだけ均等になるように種を入れます。
ある部分に集中してしまったときは
ピンセットでつまんで移動させてもよいですが
表層の赤玉土に潜り込んでしまわないように気をつけます。
私は種がよく見えるので乾いた状態で種を蒔きますが
Y氏は灌水後に蒔いています。
灌水後に蒔けば種の移動が楽です
サボテンは種の大きなテフロカクタスなどの
一部を除いて覆土せず表層土の上に置くだけにします。
なお、種蒔きはテーブルの上に蒔き床を置き
いすに座った状態で行うのがやりやすく
私はポッティングトレーを100円ショップで売っているトレーに入れて
室内で行っています。

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3)給水、消毒、容器へのセット
種蒔き後にトレーに水を入れて吸水させ、その後表面に殺菌剤をスプレーします。
殺菌剤は灰色カビ病に効果があるもので
私はダイマジンあるいはロブラールを使用しています。
なお、D氏によるとダコニールは土の表面に膜が張って
根が地中に入りにくくなるので使用しないほうがよいとのことです。
その後容器にセットし、底部に水を張り(腰水、深さ5~7mm)
覆いを被せてハウスの所定の場所に置きます。
容器の置き場所ですが、私は発芽するまではハウスの棚の上に置き
ほぼ生えそろったらハウスの床の上に移しています。


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 4)種蒔きの時期
   種蒔きはハウス内の温度が安定して30℃以上となる時期に行います
これは、種蒔き直後に低温に合うと発芽率が大幅に低下してしまうからです。
静岡では春は4月中旬以降となります。
7~8月の夏は十分な発芽温度が得られますが
暑すぎて発芽した苗が痛んでしまうので行わない方がよいです。
   秋は9月が最適で、10月に入ってから蒔いても発芽はしますが
その後に温度が下がってくるので生育は大幅に悪くなります。
   なお、サボテンの種類によっても蒔く時期が変わってきます。
   春蒔き…夏の暑さに強い品種、春に種が採れる品種など。
       ユーベルマニア、エビ類、エキノプシス、竜神木などの台木類、牡丹類、
       エキノカクタス、コリファンタ、菊水、精巧殿、ギムノ、希望丸、玉翁殿
   秋蒔き…夏の暑さに弱い品種、初夏に種が採れる品種など。
       コピアポア全般、天平丸、光琳玉、小人の帽子
赤花精巧殿、白鳥、白鷺、白岳丸
*スクレロカクタスなど、高山性の品種は低温で発芽するため
2~3月に種蒔きするようです。
また、栽培地によっても変わってくるので、種蒔きの時期については
いろいろと試してみて自分なりに決めた方がよいと思います。
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3.種蒔き後の管理
私は種蒔き後にほぼ生えそろったらハウスの床の上に置いて
移植できる大きさに育つまで管理します。

発芽した幼苗は強光線や極端な高温に弱いので遮光ネットを被せておきます。
遮光ネットは遮光率40~50%の白色のものが適しています。
幼苗は乾かすと生育が極端に悪くなるので、腰水がなくならないように注意します。
また、容器の中は高温多湿のため灰色カビ病などが発生して
幼苗がダメになることがあります。
この予防のために定期的に殺菌剤を散布します。
Y氏などは2週間ごとにダイマジンとロブラールを交互に散布しているそうです。
  なお、病気が発生してしまった場合、殺菌剤を散布しても
伝染を防ぐことはほぼできません。
病気でダメになった苗を周囲の土ごと除去する、容器の外に出して直射日光に当てるなどで
ある程度の伝染防止ができます 。
  最近は苗が黒くなって腐る病気が発生することがあります。
この病気には有効な対応策がなく、鉢や容器(リンゴ箱)をまたいで伝染し
全滅に至ることが多いです。
この病気が発生した場合は現在のところ、別のハウスで実生する
鉢や容器等を新しいものに替えるなどの対策をとって
やり直すしかないようです。
病気の他にナメクジやコオロギなどによる食害も大きな問題となります。
特にナメクジは夜間に食害するので気づきにくく
気づいたときにはかなりの被害を受けている場合があります。
容器を地面に置いたときはこれらの害を受けやすいので
誘引して殺す薬を散布して予防しておきます。
*容器をハウスの床に直置きするのは極端な暑さや寒さを避けるためです。
近年は夏の暑さが極端ですが
床付近の温度はそれほど高くないので高温による傷みが減少します。
このようにすれば高温に弱いコピアポアなども春蒔きできます。
(秋蒔きのほうが成績は良いですが)
また、冬季も床面の温度は下がりにくく、寒冷による傷みが減少します。
*表層の赤玉土に青苔が生えることがあります。
放っておくと成長して強固な膜となり苗の生育を阻害する場合があります。
特に菊水などの種が微小で植え替えまでの期間が長い品種では深刻な問題となります。
この対策としては赤玉土の表面がうっすらと緑がかってきたタイミングで
スプレーを用いて水を吹きかけ、青苔を赤玉土の下に洗い流すようにします。
*静岡では最低気温が高いので冬季でも腰水したままで管理しています。
しかし、冬季の最低気温が低くなる地方では腰水で多湿にしてよいかは分かりません。
しかし、フィルムの3重張りや加温などで温度を保ち
乾かさないようにしたほうが苗の生育にはよいと思います。
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4.1回目の植え替え
一般的に種を蒔いてから半年ほど管理すると苗は4~6mm程度に成長し
鉢の中でくっついてくるようになり、極端な場合は山型に盛り上がってきます。
このような状態になると生育が悪くなり
また腐りが出やすくなってくるので1回目の植え替えをします。



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1)植え替えの時期
春蒔きでは9月~10月
秋蒔きでは2月以降に大きくなったものから植え替えを行います。
成長が遅く小さいものは無理に植え替えるとその後の成長が悪いので
大きくなって体力がつくまで植え替えはしないほうがよいです。
菊水など、種子が微小な品種は1年程度育てて
少なくとも3mm以上になってから植え替えます。
また、球体がくっつかないようならば
できるだけ大きくなってから植え替えたほうが
腐りや成長障害のトラブルが少なくなります。
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2)鉢
1回目の植え替えでは大きくて深い鉢に植えるとその後の成長がよくありません。
私は兼弥産業の5号長角鉢(167×122×H59mm)を使用しています。
プラ鉢の他に5号長角鉢にサイズの近いプラスチックトレーなども使えますが
こちらは底に穴を開ける手間がかかり
耐久性がないので使い捨てとなる欠点があります。
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3)培用土
植え替える苗が小さいので細かい培養土を使用したいですが
一方であまり水はけが悪いと腐りなどが多くなる問題があります。
そこで、下層は赤玉土の細粒(二本線の小品盆栽用)をベースとした培養土、
上層は赤玉土の微粒(芝の目土)をベースとした培養土にする2層構造にしています。
私は最近では上層に山城愛仙園の配合培養土(サボテン用)
小球・実生用を使用しています。
肥料を含めて全体的に粒が小さくて植えやすく、その後の生育もよいです。
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4)植え床作り
鉢底に網や細かい軽石等を入れて穴をふさぎ、下層に細粒培養土
上層に微粒培養土、最上層に赤玉土や鹿沼土の微粒を4mm程度入れます。
(肥料にカビなどが生えるのを防止するため)
入れ終わったら、じょうろで鉢底から流れるまで水を十分にかけ
その後斜めに立てかけてしばらく置いて余分な水を切ります。

通常の植え替えでは根を整理するので
根の切り口から菌が入って腐るのを防ぐため乾いた培養土に植えることが多です。
しかし、幼苗は根が乾燥すると生育が悪くなるので湿らせた培養土に植えます。
1回目の植え替えでは基本的に根は切らないので切り口から菌が入ることはなく
また、長すぎて根の先端を切った場合でも腐りが入ることは少ないようです。
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5)植え付け
植え付けは根がきれいに抜けるように実生ポット(幼苗の植わった鉢)の
土を乾き気味にした後で行います。
従って、植え床は実生ポットの乾き具合を見ながら準備します。
まず先の細いピンセットで植え床に穴を掘り
幼苗をつまんで抜き出して.根を穴に入れます。
できるだけ根がまっすぐに穴に入るように気をつけ
根の先端が上に向くことがないようにします。
根が長すぎて穴に入らない場合はやむを得ず先端を切ることもあります。
ただし、太くなった根はなるべく切らないほうがよいです。


植え替え時の根の長短は種蒔きから植え替えるまでの期間や
品種によって異なります。
一般的に苗が大きくなってから植え替えると丈夫で生育がよいですが
一方で根が長くなって植え替えにくくなります。
実生ポット内の種の数を減らし、1cmより大きくなるまで管理して
後述する2回目の植え替えのようにして植え替える方法もあります。
なお、苗を植え付ける間隔ですが
これはなるべく詰めて植えたほうが鉢数が少なくて済み、その後の生育もよいです。
間隔を詰めて植えるとすぐに苗がくっついてきて植え替えなければならないので
間隔を空けて植えるという人もいます。
しかし、2回目の植え替えも含めてなるべく間隔を詰めて植え替え
植え替えの回数が多くなるようにした方が苗を早く大きくできます。
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6)植え替え後の管理
植え替えた鉢は数日間は新聞紙を被せて強光線を避けます。
鉢の置き場所ですが私は白色の50%遮光のネットを張ったハウスに入れています。
実生苗は強光線や乾燥を避け、柔らかな日差しと
湿度のある環境に置いたほうが生育がよいです。
表面が乾いたら灌水することは他の苗と変わりません。
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5.2回目(以降)の植え替え
1回目の植え替えを行ってから早いものでは3~4ヶ月で苗がくっついてきます。
放っておくと上に盛り上がって山型になり生育が悪くなるので植え替えを行います。
なお、冬季は植え替えるとこじれる品種もあるため無理して行わないほうがよいです。

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1)鉢
2回目の植え替えでは6号以上の長角鉢に植え付けます。
鉢のサイズは苗の大きさによって変えますが
なるべく小さいサイズのほうが苗の生育がよいです。
従って、苗の数が多くても3cm程度までは
6号長角鉢に数鉢に分けて植えたほうがよいです。
小さい鉢に植えたほうが生育がよいのは
鉢が暖まりやすいことによると思われます。
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3)培用土
培養土も苗の大きさに応じて粗いものから細かいものまで使い分けますが
私は鉢の中で下記の3種類を何層かにして使用しています。
①粗いもの・・・赤玉土の中粒(二本線の小粒)をベースとしたもの
(最近の小粒は粗すぎるので大きな粒はふるい分けて取り除いている
②中くらいのもの・・・赤玉土の細粒(二本線の小品盆栽用)をベースとしたもの
③細かいもの・・・山城愛仙園の配合培養土(サボテン用)小球・実生用

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4)植え替え
植え替えに際しては苗を全て鉢から抜き
よく土を落としてハサミで根を整理します。
その後、トレーに大きさ順に並べ、新聞紙を被せておきます。

翌日になったら鉢に培養土を入れて順番に植え付けていきます。
鉢に入れる培養土は下層に①、中層に②を乾いた状態で入れます。
上層には②単用または②と③の混合を湿らせて入れます。
湿り具合は棒などで植え穴を掘ったときに崩れてこない程度にします。
上層の②と③の混合割合は苗の大きさによって変え
小さいものほど③の比率を大きくします。
鉢に培養土を入れ終わったら箸やスプーンなどで穴を掘り
苗を入れ、土を寄せて植え付けていきます。
1回目の植え替え同様に苗の間隔は詰めたほうが
その後の生育がよいです。
植え付けが終わったら表面に化粧土を入れて苗の並びや傾きを修正します。
化粧土は赤玉土の細粒や矢作砂を用います。
矢作砂は培養土の乾き具合がわかりにくいデメリットがありますが
重いので根元が落ち着き、水やりで流されにくいメリットがあります。


なお、培養土を湿らせず、ピンセット等で根の先端をつまんで
差し込んで植える方法もあります。
しかし、根を短く整理する必要があり、また培養土中の根の広がりなどを
確認できない欠点があります。
乾いた培養土に植え付けるのは根の切り口から菌が入って
腐りなどが発生することを心配していると思われますが、根を整理して1日おけば
湿った培養土に植え付けても問題ありません。
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5)植え替え後の管理
植え替え後は新聞紙を被せておき、1週間後に軽く灌水します。
その後の灌水は通常通り培養土が乾いたら行います。
以上が植え替えの手順で、3回目以降も同様ですが
実生苗は植え替え回数を多くした方が早く大きくなります。
以前に紫太陽を実生した例では、9月に種蒔き、翌年2月に1回目の植え替え
6月に2回目の植え替え、9月に3回目の植え替えを経て
種蒔き1年半後の翌々年3月には4cm程度の大きさになりました。
以上、種蒔きから植え替えまでの方法を紹介しましたが、
今回紹介した方法は静岡県において、私が作っている品種についてのものであり
栽培地やハウスなどの環境、作る品種、栽培方法の違いなどによっても当然変わってきます。
ここで紹介した方法は参考として自分に合った実生法を検討しほうがよいと思います。